東京の街散歩

TOKYO NO MACHI-SANPO

浮世絵で隅田川大花火

浮世絵で隅田川大花火

 

 先日の話ですが、東京メトロ銀座線でホオズキの鮮やかな実が目につきました。見るとホオズキとともに亀十の袋とペリカンの袋も。なるほど浅草寺の四万六千日のお参りの後雷門を出て田原町まで足を延ばされたのでしょう、するとお昼は天丼か天ぷらそばか、いやいや意外にカツ丼か牛丼かもしれませんなんて勝手に庶民的な浅草名物で妄想の世界に浸ってしまいました。

 なんとも梅雨寒で実感に欠けるのですが、ほおずき市が知らせてくれるように暦は確実に夏を迎えています。東京の夏と言えば隅田川花火大会も楽しみです。

 江戸東京博物館でもその賑わいを巨大なジオラマで実感させてくれる隅田川花火大会の前身の両国川開大花火。その賑わいの様子をより細かく浮世絵で楽しめる特集展示を「すみだ郷土文化資料館」で見つけました。

 花火にまつわる資料も興味深いのですが、なにより浮世絵に生き生きと描かれた風俗に魅かれます。花火見物に的を絞った、絵の中に没入できる展示はお勧めです。

 すみだ郷土文化資料館は、とうきょうスカイツリー駅を、スカイツリーを背に隅田川は言問橋に向かったところに立派な建物を構えています。些か展示はこじんまりですが観覧料100円となっています。

 

舩津 孝

 

東京都水道歴史館

東京都水道歴史館

 

  水が恋しい。
残暑というには些か、いやいや大分おこがましい猛暑の毎日です。少しでも涼をと水を話題にというわけで、博物館の話題が続いてしまう点はご容赦を願って、『東京都水道歴史館』へのお誘いです。

 東京都水道歴史館とは、東京都水道局のPR館の一つですと資料にあります。とはいえ明治時末期に淀橋浄水場内に開館した模型室を前身に持ち、なにしろ江戸時代に世界最先端の都市型水道を作り上げた江戸東京の、水道局ですから、博物館として十分に好奇心を満たしてくれる展示内容です。しかもPR館ですから入館無料ですし、入口すぐの石と水のオブジェに流れる水音が、水琴窟のようとは少々言いすぎですが、館内に響き心地よいのです。

 展示は順路をたどって2階の江戸上水から1階の近現代水道となっており、実物や模型、相変わらず細部にこだわったジオラマが、楽しめます。逆に言えば水道の事だけで間が持ってしまっていることにも感心させられるのでもあります。

 東京都水道局本郷支所内に本郷給水所公苑に隣接するこの東京都水道歴史館へのアクセスはいろいろ考えられますが、ここはJR水道橋駅より水道橋で神田川を渡り、少し坂を上がって向かうのが気分です。ただ歴史館には、最近江戸切子風にラベルデザインをリニューアルした、ご自慢の『東京水』の販売も自販機の用意もありません、暑いさ中にはご注意くださいませ。


舩津 孝

 

東京都江戸東京博物館

東京都江戸東京博物館

 

雨の日は江戸へ。

梅雨の季節。
雨もまた乙なもので、傘をさしての散歩もまた良し。
などと達観には程遠く、せっかくの休日も出不精を決め込んでしまいがちです。

そんな時は、雨にぬれずゆっくりと歴史散歩などいかがですか、とお誘いです。

東京都江戸東京博物館。文字にするとなんとも“くどい”名称です。東京都民としては、ここは更に東京都営大江戸線に乗ってむかうのが正しい姿なのかと、思案しどころですが、国技館に並んで建つこの通称「江戸博」は、大江戸線は勿論、お相撲ワールド全開のJR総武線両国駅、そしてクルマと雨の日でもアクセスは良好です。何で向かわれるにしてもJAFの会員証をお持ちでしたらお忘れなきように、お得に入場できます。またお出かけの時ついつい大荷物になってしまう方は小銭のご用意も、1Fのチケットカウンターの裏手に、使用後にお金が戻るコインロッカーがあります。ちなみに壁側のものは大容量ですので身軽に江戸博探索が楽しめます。

江戸博の常設展は、徳川家康が江戸に入府してからの約400年の博物館です。大きな吹き抜けの空間に掛かる実物大の白木造りの日本橋を渡り江戸へ、そして展示の順を追って現代の東京へ戻ってくるという構成です。このタイムスリップの起点となる「日本橋」をはじめ実物大の再現模型やマニアックなこだわりで再現されたジオラマ、ダイナミックに可動する展示、体感できる展示物などテーマパークなみの充実度とここは言い切ってしまいたい、まああくまでも個人の感想ではあるものの、常設なのに、何度行っても楽しいのですから。

ただ、江戸っ子の血が騒いで、例えば町火消の纏を振ってみたいとか、棒手振の天秤棒を担いでみたいとかの欲求には、大盛り上がりの小学生たちや外国人観光客に馴染み込む些かの勇気の持ち合わせも必要です。

 

舩津 孝